このページは、これから「えがおドラミ」がどうなるのかを追うページです。随時更新します。がんばれえがおドラミ!
えがおドラミイメージ
えがおドラミの復活ギグ第2弾/ライブレポート!
2000年2月18日(金曜)
場所は三軒茶屋「HEAVENS DOOR」でのライブレポートです。(2000.2.23up)


SET LIST
1,島味
2,派手な車
<MC>
3,水の中
4,スイート・マロン
5,行かないで


喪失と、再生
えがおドラミは、再生した。
諸田コウというバンドの屋台骨を失い、バンド存続の意味さえ
見つけることのできなかった大きな空洞を、
残されたメンバーはいとも簡単に飛び越えて見せた。
そう、今日のたった5曲のライブによって。
少なくとも、僕にはそう思える。

喪失の果ての再生を、僕はあの暗闇の中で見たような気がする。



1章:1999年11月。渋谷。
去年の11月。諸田コウが亡くなってから、初めてのライブが
渋谷GIG ANTICで行われた。僕はその時のことを思い出していた。
あの夜、僕は複雑な気持ちでライブハウスを後にしたのだった。

諸田のベースサウンド、そして存在感がいかに大きいものだったか、
そしてそれが欠けたままのライブがどのようなものになるか、
僕は半ば覚悟して聞きに行ったつもりだった。
そしてその想像は残念ながら的中してしまった。

僕には諸田の欠けた彼らの演奏が悲しかった。
ギターの音はミナコの声を完全にかき消してしまい、バンドのグルーブは
ただただ空回りをしているように僕には聞こえた。

そして、JOの胸に下げられた編んだ髪の毛のネックレス(それは諸田さんの
編んだ髪の毛にそっくりだった)が、揺れるのを僕は見ていた。

そして、あの日の彼らの音は最後まで僕の胸の奥に届くことはなかった。


2章:HEAVEN'S DOOR
そして、今僕はHEAVEN'S DOORのフロアに立っている。
いよいよえがおドラミのステージだ。
メンバーはもうスタンバイしている。

センターにミナコ。左手にKEYのレイコ、その右にシンセ&ボーカルの白鳥。

右手には初めてみるギタリスト。
就職で活動できなくなったGOROのピンチヒッター君である。
たばこをくわえてニコニコしている。余裕じゃん。

そして奥にはドラムのJ.J.JACK.JOE。
今日はなぜかお祭りのお面をかぶっている。(なんで?)

突然、聞き覚えのある鉄琴の音、そしてそれに合わせて幼児が楽しそうに
話す声が聞こえてきた。「わたしのなまえはハコザキミナコ!
ハーコーザーキーミーナーコー!」

えがおドラミの「DEMO1998」の最後に収録されているボーナストラック(?)
の音である。音源はミナコが3歳の時に両親が録音したものらしい。
会場から笑いが洩れる・・・・・。声が今と全く同じじゃん。


3章:ライブ開始!
SEが終わるとともに、ギターのイントロがかぶってくる。

1曲目「島味」だ。
泣けるね、このイントロ。
ギタリストが大きすぎたボリュームを、即座に足下にかがみ込んで調整する。
やるじゃん。
JOのドラムもスコーンと抜けたいい音を響かせる。
一発で気合いが入っているのがわかるぞ。

ZEPPELINみたいなどっしりとしたサウンド。
そして堂々としたミナコのボーカル。
なんだろう。この透明感。
僕はしばらく見とれてしまった。

いけるぞ、これ。

2曲目「派手な車」
のりのりポップチューン。
ハモリの「ハーデナ・クルーマー」あの諸田のとぼけたコーラスが
もう聞けないんだな。それが少し寂しかった。でもいい演奏だった。

ここでミナコのMC。
久しぶりのライブでうれしそうだ。子供みたいに笑っている。
そして少し真面目な顔になってこんな話をした。

「諸田コウさんが去年亡くなってしまって、一時はバンドをやらないように
なっていたのですが、えーと・・・でも、バンドをやることによって
ここに降りてきてくれるので続けることにしました。
今日、きっとここに来てくれていると思うので皆さんも楽しんでください。」
客席から「もう来てるよー」の声。そうだね。


4章:レクイエム
3曲目「水の中」が始まる。

ミナコはMCの後にこの曲を選んだ。
それは、きっと諸田さんへのレクイエムとしてなんだろう。

「水の中」

水の中に足を入れた
ぴちゃぴちゃと
水は跳ねる

とんでゆくよ
どこまでも

水の中に足を入れた
ぴちゃぴちゃと
水は跳ねる

遠い昔を
思い出すよ

YOUR SMILE
YOUR SMILE
YOUR SMILE
YEAH, YEAH, YEAH, YEAH,

優しい気持ち
きっとするよ

YOUR SMILE
YOUR SMILE
YOUR SMILE
YEAH, YEAH, YEAH, YEAH,

YOUR SMILE
YOUR SMILE
YOUR SMILE
YEAH, YEAH, YEAH, YEAH,

(作詞:箱崎ミナコ)

なにも言うことはない。
優しくて、懐かしくて、少しだけ悲しい歌だ。

ギターのフィードバックそしてJOのハイハットから
なだれ込むように次の曲が始まる。

4曲目「スイート・マロン」
この曲のイントロでのJOのドラムは圧巻だ。
圧倒的な音圧。僕はすうっと鳥肌が立つのを感じた。
やっぱり並のバンドじゃないよ。こいつら。 そしてミナコの歌う数え歌のような懐かしいメロディ。
子供みたいな甘い歌声。

その裏でうなりをあげるドラム。
ギター・キーボードが一体になってビートをたたきつける。

諸田さんのベースのうねりが、JOのドラムの後ろから
聞こえたような、そんな気がした。 そして最後の曲。

5曲目「行かないで」
女の子がステージ前で踊り始めた。
(あれインド舞踊ですか?)

ミナコのボーカルは以前よりもさらに伸びがある。
ああ、もう終わっちゃうのか・・・

気づくと、曲は終わっている。
僕の胸の奥に暖かい灯りが点った。
久しぶりに、胸に来た。


演奏を終えたJOの肩をどつく。 僕は言う。「最高だったよ。胸に来た来た。」
JOはでかい声で「ワハハハハ」と笑う。
演奏を終えた直後の彼はなんだか子供のようだ。

しかし本当によかった。
これだから、やめられない。


ミナコに話しかける。
「今夜のライブ、諸田さんステージで一緒にプレイしていたかもしれないね。」
そういうとミナコは「私もそう思う!」とうれしそうに答えた。

それとも、今夜のライブを諸田さんはベースを肩からおろして、
客席でうれしそうに見ていたのかもしれないな。
今はそう思う。

新しいえがおドラミの音を、誇らしげに聞いていたんじゃないか、と。

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